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早くここから出たい
「もういいの。」
更に歩を進めようとすると、急に目の前に現れた壁に自由を奪われた。
「嫌!離して!」
大声で叫ぶと柔らかいものに口を塞がれた。
「やめ…」
そう叫んで頭を振ると片腕で体を、もう片方の手で頭を固定されて…
声になら声は彼の口の中で消えてしまう。ジタバタしても男の力で両腕ごと強く抱き締められて身動きができず…
力尽きて抵抗を止めた時、絞まっていた腕や体が自由になった。
唇は塞がれたまま徐々に深く絡まっていく舌を力なく受け入れていた。
嫌だ、こんなの嫌。
まだ彼の気持ちだって聞けてないのに…
こんな形で高村くんに触れることが悲しくて、涙が浮かんでくるのを止められない。両頬を涙が伝い嗚咽が漏れて
全てが解放された。
「ゴメン、こんなことするつもり無かった。
夕貴を止めたかっただけなんだ。」
「……うっ、うっ」
「ごめん。」
2度目の抱擁は優しくて今度は私から抱きついた。
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