第1章

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「女性もいたけど、男もいただろ?」 「あの二人は同期で着任した先生だよ。」 「同僚なんだ。」 「うん。送ってもらって、直ぐに二人で帰ったよ。」 「そっか、夕貴のことを優しい目で見ていたから気になったんだ。」 美しい女性とくっついていた高村くんの方が怪しいのに、自分のことは棚にあげて私の同僚を気にする高村くんが理解出来ない。 嬉しそうに微笑む高村くん 私の方がショックを受けていたのに… 高村くんが自分のことは気にしてないことが不思議だ。 「あの綺麗な女性はモデルさん?」 「俺の従姉妹。」 「え?」 「母の妹の娘。家を出たいからここに住まわしてくれと言ってきたんだ。」 煩わしいそうに言う高村くんに事情が分かってしまった。 従姉妹だったんだ 通りで綺麗な人だった 高村くんと同じDNAを持っているんだと思うと綺麗なのも納得できる。 「従姉妹さん、高村くんのことが好きみたいだった。」 「ああ、小学校の頃から好きって言われてる。」 「従姉妹は恋愛できるんじゃなかった?」 「無理だよ、兄弟みたいでそんな気になれない。」 そうなのかな? あんなに美しくて色気があって魅力的なのに… 小さい頃から一緒にいたら異性に見れないのはよく聞く話だけど… 「抱き抱えるように出ていったから、高村くんの恋人だと思った。」 「誤解されるのが嫌で夕貴に見せたくないのに、あいつが俺を見て動かないから… 夕貴が男といるのもムカついたし…。 気が付いたら抱えるようにエレベーターから従兄弟を連れ出してた。」 思わず顔が緩む。 もしかして… 妬いてくれていたの? 「じゃあ、彼女は…」 「あれからずっといない。夕貴は?」 いないんだ 緩む顔を見せたくなくて俯きながら 「いないよ。学校と仕事で忙しかったし…。」 高村くんがずっと好きだったから… 恥ずかしくて好きの言葉は口に出せない。
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