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潤んでゆがむ視界をぬぐいながら、読み終えた。
Tomoさんは、もう自分では届かないからこそ広い世界が見えていたんだと、私は思う。
それぞれ個性を持つように見えた空の写真も、朝陽にしか見えなかった夕陽の写真も、目には見えない撮る者の意思が伝わってきたものだ。
私はTomoさんの声も、容姿も、本当の名前すらも知らない。
けれど何百キロも離れた場所から、この1000枚を超える空を通して、Tomoさんを近くに感じるし、その体温が今にも伝わってくるように感じられる。
あの今にも立ち昇りそうな夕陽が、私の胸を熱くする。
撮ろう、広い世界を。
楽しみにしていたTomoさんに、もう見てはもらえないけれど、その分もっとたくさんの人へ、この広い世界をいつかきっと届ける。
私が届ける。
パソコンをそっと閉じ、駆り立てられるものを抑えられずに、カメラを手に取り外へ駆け出す。
カラを破るときが来た。
end.
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