3幕

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あなたが素敵な朝陽とお話しになった写真、あれは実は夕陽の写真なのです。間違いではありましたが、夫があの写真を撮った時、 見てくれ、朝陽のように活き活きとした夕陽じゃないか。沈んでいくはずなのにこうして見ると今にもまた立ち昇ってきそうだよ。私も最後までこの夕陽のようでありたいと。 そう二人で話していた写真をあなたは朝陽だとおっしゃった。夫も私も、毎日に活力を与えてくれたあなたからの言葉に本当に嬉しかったのです。 そのお言葉を頂いたときには、もう夫にはお返事を返すだけの体力は残っておりませんでした。しかし最後にあなたへ積もりに積もった感謝を伝えて欲しいとの言葉を受け、こうしてお返事をするに至った次第です。 本当に、突然のことに困惑されていることと存じます。しかしこうして、あなたの写真に救われた者がいたという事実と、もっともっと広く羽ばたいて欲しいという期待と、言葉では言い表しきれない感謝の念をお伝えしたく、こうして夫の筆を借りるに至りました。どうかこれからもお元気で。そしてたくさんの方へあなたの写真が届くことを願っています。 本当にありがとうございました。
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