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高速を降り暫し走ると、高速に乗れない渋滞があった。
「事故渋滞だそうだ」
道が、横転したトラックにより塞がれ、通行止めになっていた。
「君達は、本当に不思議だね」
細い道は、民家の横を過ぎてゆく。曲がってもいて走り難く、更に、通常よりも多く車が走っていた。
位置的に、事故渋滞を抜けたので、高速道路へ戻ろうとする。
「まあ、話すと長いのですが、怪談なのですよ」
車を高速道路に戻すと、今度はスムーズに進んでいた。多少の時間のロスで済んで、本当に良かった。
「そうか。俺も、言い難かったけどね、紳さんが、B君が君の家を守っているから教えて欲しいと言われていたよ」
俺の家を、どうしてB君が守るのであろうか。
「どうしてでしょう……」
「B君の知識が活かせる場だった、としか、言いようがない」
数々の災難がB君には見えて、それに勝てるのは、自分しかいないという存在の許しを覚えたらしい。
「迷惑な……」
高速道路の怪談は何であっただろうか。眠気は無いので、怪談は絶対に止めたい。しかし、信哉が喋り出していた。
「慶松旅館の貴賓室には、座敷童がいる。床の間の付近でね。子供が行くと、一緒に遊ぶ」
遊びは、だいたいが、かくれんぼであった。信哉が行くと、そこでは、紳が子供をあやしていた。
「…………」
「大人がいくと、一緒に晩酌をする」
座敷童が、晩酌をしないで欲しい。
「いつの間にか、悩みを喋ってしまって、話すと、スッキリしてしまう」
信哉は、紳に瑠璃子との結婚を相談した。すると、紳は、旅館なんて辞めてしまえと言った。
「適当な事を言う人ですよね」
大女将は、忙しくて一人娘だけを産んだ。紳は、早死にしてしまったので、何も文句は言えないだろう。だから、紳は孫が三人で喜んだ。
「紳さんが、慶松旅館には座敷童がいて、見ると幸福になれると教えてくれた。そこで探してみると、氷花君だった……」
どうして、俺になるのだ。矢印とか、丸とかの目印があったのか。
「どうして、俺が座敷童なのですか?」
「最近の座敷童は、会社員もしているらしいよ。座敷童が働く会社は、幸福になる。俺も、欲しかったので、喜島さんに交渉して断られたよ」
どうして、俺が座敷童なのか、教えてくれる様子はない。
そのまま、運転していると、見慣れた景色がやってくる。俺は家に帰り、先に降りるしかない。
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