第九章 月と道に迷って 四

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「屋根の上で遊ぶのは危ないですね」 「そういう問題ではないけどね」  営業一課に土産を渡しに行くと、柴田と行方も映像を知っていた。 土産を受け取りながら、じっと俺を見ている。 「はい、土産。木のメモ帳。ちょっと墓参りに行ってね」  柴田は、メモ帳を受け取りながら、俺と目を合わせないようにしていた。 「……やっぱり、氷花だよね。途中で微かに氷花の声が聞こえてさ。 妹が、映像を持ってきたのだけどさ……」  こっちでは、俺の歩く後ろに子供が幾人も歩いて付いてきていた。 しかも、子供は、半透明であった。 「えええ?」  この映像も、俺は初めて見た。 校舎の廊下に、幾人もの子供がいた。着ている服装は今のものではない。 幾人か、防災頭巾のようなものを被っていた。 しかも、夜の映像であるのに、教室の窓から、明るいグランドが見えているシーンもある。 何もないのだが、妙に怖い。
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