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束の間の休息
「はぁ~疲れた・・・・・・怜くんギュッとしたい」
黒川が疲れ切った様子で歩いていた。
成海の体調も回復し、黒川も徐々にカンパニーでの任務に就き始めていた。今回の任務はある企業への潜入調査だ。最新鋭のセキュリティシステムをかいくぐり、ハッキングを行った人物を特定する。仲間のフォローに助けられ、なんとか特定する事が出来た。そして、今まさに二週間ぶりにカンパニーの部屋に帰るところであった。
しかし、ヒロには驚いたなぁ・・・・・・、普段あんな感じなのに、フォローの行き届いた事ったら・・・・・・。俺が何も言わなくても先を読んで動いてくれる。かゆいところに手が届くってあんな感じなんだろうな。きっと、そうやって怜くんの事ずっと支えてきたんだろうなって。ヒロの怜くんに対する思いみたいなものを、改めて感じてしまってちょっと落ち込んだ。だってさ、俺なんかよりヒロが怜くんの側に居た方が怜くんの為にもいいんじゃないかって思えてきて。俺なんかより、実力も洞察力もある。ヒロが側に居たらこれ以上ない支えに違いない。
「はぁ・・・・・・落ち込んできた」
とぼとぼと部屋の前まで辿り着き、扉に手を掛けた。
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