痛む心

3/20
前へ
/295ページ
次へ
 俊介の手紙はそう締めくくられていた。 「いや~なんというか熱烈だねぇ・・・・・・」  大地が照れた様に笑う。 「・・・・・・」  成海が真っ赤になって両手で顔を覆った。 「ま、なんにしてもその俊介って子は、いい政治家になるだろうね。自分の信念を貫く事の大切さを教えてもらったんだから」  大地がニッと笑った。 「・・・・・・そだね。俊介はこの国を変える政治家になるよ」  ふふっと成海が笑う。 「その手紙、柊ちゃんには見られない様にね?」  大地が苦笑する。 「・・・・・・うん」  成海が俯く。 「返事してあげたら?」  大地がウシシっと笑う。 「うん・・・・・・どうしよ」  成海が困った様に笑う。 「プロポーズの返事してあげなよ」  大地がウヒョヒョっと笑う。 「もうっ、悠ちゃんっ」 「この国を担う政治家になる。って事は、遅かれ早かれまた警護の依頼が来ると思うよ。恐らく柊ちゃんと一緒になるんじゃない?」  大地が真剣な顔で言う。 「・・・・・・分かってる」 「辛いと思うけど、時にはハッキリ断ってあげないと希望を持たせることになる」 「・・・・・・うん」  成海が俯く。 「怜くん」  不意に後ろから声が聞こえた。 「・・・・・・柊斗っ」  成海が無意識に手紙をポケットに押し込んだ。 「悠真くんの用終わった?」 「う、うん」 「なんだったの?」 「え? あの・・・・・・」  成海がいいよどんでいると、「ちょっと任務報告が漏れてるのがあったから、来てもらったんだ。柊ちゃんはどうしたの? ナルちゃんが心配で来たの?」と、大地が助け舟を出す。 「そっか、俺はちょうどいいからお土産をね?」  成海にねっと笑いかける。 「あ、そうだね。お土産買ってきたんだ」  成海がホッとした様に笑った。 「お土産?」 「この前二人で休みもらった時に遊園地行ってきたから、そのお土産」  黒川が紙袋に入ったTシャツを渡す。 「あとヒロにも買ってきたんだけど、来るかな?」 「ああ、ヒロは残務処理が終わってそろそろ戻ってくると思うよ。お茶でも飲んで待ってたら?」 「そうしよっか?」 「そだね」 「お、いいじゃん可愛いじゃん」  大地がTシャツを出して嬉しそうに笑う。 「怜くんが選んだんだ」 「さすがナルちゃん、俺の好み分かってる~」 「ふふ、悠ちゃんお洒落さんだからね」
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加