痛む心

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「休み取れて良かったね。楽しかった?」 「すっごい楽しかったよ! ね~」  黒川がテンション高く成海に話しかける。 「う、うん」 「おおっぴらにイチャイチャ出来なかったんじゃない?」 「それがね、怜くんにじょそムグっグゴモゴゴっ!」  黒川が喋り出したところを成海が口を押さえた。 「イチャイチャなんてするわけないじゃんっ」 「そ、そう?」 「そうだよ、ね、柊斗!」 「あ、うんそうだね・・・・・・」 「じゃ、お茶でも飲みますか?」  大地がいそいそと立ち上がる。 「悠ちゃん席外して平気なの?」 「あ~平気平気。今、武尊が新人教育中で、人員余ってんだ。こんな機会めったにないから存分に羽伸ばさせてもらってんだ」 「そうなんだ。武尊、頑張ってんだね」 「ナルちゃんに触発されたみたいだよ?」 「オレに?」 キョトンと成海が首を傾げる。 「ま、ここじゃなんだから会議室行こっか」  大地が足早に歩き出す。 「ふふ、行こっか」  成海と黒川は顔を見合わせて笑った。 「さ、何食べる?」  俺達のカフェに入り、大地がメニューを渡す。 「そういえば、朝飯まだだったね。なんか食おっか」  黒川が成海にメニューを見せる。 「そういやそうだね」  成海がメニューを覗き込む。 「よし、牛丼とマーボー丼にしよう」  大地がメニューを閉じる。 「え、丼二つ?」  成海が苦笑する。 「朝の食事は一日の活力になるからね」 「じゃ、俺は特製オムレツのスタミナプレートにしよ。怜くんは?」 「ん~、フレンチトースト」 「それだけ?」 「え、なんで?」 「少な過ぎ! もっと肉とかエネルギーになるもの食べなさい」  黒川に言われて成海がメニューをペラペラとめくる。 「フレンチトースト」  成海が苦笑して言う。 「もう・・・・・・」  黒川が困った様に笑う。 「じゃ、頼むよ」  大地がタブレットを操作する。 「あ~本当に武尊が居てくれるお陰で助かる~」  大地がう~んと大きく伸びをする。
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