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「落ち着いたか?」
「うん、ヒロありがと」
「あなたは本当に優し過ぎるのが弱点だね」
結城が苦笑した。
「優しいのはヒロでしょ? いつも甘えてごめん」
成海が目をうるうるさせて結城を見る。
「・・・・・・その目やめなさい」
「え?」
「捨てられた子犬みたいな目で見ないの」
「なんだよそれ・・・・・・」
「んふっ、ほら戻るぞ」
「うん」
少し赤い目で成海が笑った。
中に戻ると、「遅~い、もうデザート食べてるよ」と、大地がケーキの盛り合わせを食べていた。
「お前、朝からどんだけ食うんだよ」
「怜くん大丈夫?」
黒川が小声で聞いてくる。
「うん」
「そ、じゃあ食べて。コーヒー飲む?」
「うん」
黒川がタブレットを操作する。
成海がフレンチトーストを小さく切り分け、頬張る。
「美味い」
「怜くんて甘いもの好きだよね」
「そう? なんか体が欲しがるんだよね」
成海が言いながらパクっとまた口に運ぶ。
「体が欲しがる・・・・・・」
黒川が口に出して顔を緩ませる。
「何ニヤついてんだよ」
成海が黒川の顔を見て突っ込む。
「え・・・・・・」
「柊ちゃん、何想像してんの?」
大地がケラケラと笑う。
「柊さん、ちょっとヤバいぞ」
結城が苦笑する。
「あは・・・・・・何も想像してないよ。ははは」
黒川が渇いた笑いを漏らす。
「もうっ」
成海が呆れた様に顔を逸らす。
「怜くん、なにも変な事なんて考えてないよ?」
「柊斗、最近どんどん変態になっていく気がする」
「そうなの?」
大地が聞く。
「そんな事ないよっ」
黒川が力いっぱい否定する。
「ま、ほどほどにね~柊ちゃん」
「あんま変態だと怜に嫌われるぞ」
「うっ、気を付けます・・・・・・」
食後のコーヒーを飲んでいると、成海が席を立った。
「オレ、ちょっと武尊に会ってくるから先戻ってて」
「うん、分かった」
成海が部屋から出て行く。
「・・・・・・」
黒川がふぅっと溜息をつく。
「柊ちゃんどうしたの?」
「ん、いや。怜くん大丈夫かなって」
「俺、余計な事言っちゃったかな」
大地がバツが悪そうな顔をする。
「何言ったんだよ?」
結城が大地を睨みつける。
「ちょ、そんな怖い目で見ないでよっ」
「何言った?」
結城がギロっと大地を睨む。
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