痛む心

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「ヒロ、目が怖いっ」  大地がビクつく。 「いいから教えろよ。怜に何言った?」 「いや、武尊にナルちゃんの事をちょっと話しちゃったんだよね・・・・・・」 「武尊に?」 「うん、武尊、ナルちゃんの事すごい心配してたからさ。かいつまんでね」  大地が成海の両親が事故で無くなった事などを話した旨を説明した。 「それで?」 「そしたら、武尊が目に見えて変わったんだ。ちょっと頑張り過ぎなくらい仕事に打ち込む様になっちゃってさ」 「それを怜に話したのか?」 「うん、やっぱまずかったかな」 「まあ、遅かれ早かれ怜から話しただろ。あとは二人の問題だしな」  結城がふぅっと息を吐いた。 「あのさ」  ずっと黙って聞いていた黒川が口を開いた。 「なあに柊ちゃん」 「怜くんは何に落ち込んだんだろ。自分の過去を知られたから落ち込んでたんじゃないみたいだけど」  黒川が考え込む様に宙を見つめた。 「俺、まだ怜くんの事全部は分かってないんだな・・・・・・」  黒川が寂しそうに俯く。 「怜はバカがつくくらい自己犠牲の強い奴だからな。分かんなくて当然だって。俺はこんな小さい頃からずっと一緒に居たからさ」  結城が黒川に笑いかける。 「そうだよ、柊ちゃん。ナルちゃんの思考はなかなか凡人には理解しにくいから気にする事ないよ。ヒロはさ、双子みたいなもんだから」  大地も慰めてくれる。 「うん、ありがと」 「怜はさ、自分の事を深く思ってくれてる武尊に対して、何も出来ない自分に落ち込んでんだ」  結城が言う。 「・・・・・・え、それってどういう意味?」  黒川が首を傾げる。 「あ~、なんだ、その・・・・・・」  結城が大地の方をチラっと見る。 「柊ちゃんにはちょっと言いづらいっていうか、ね?」  大地も結城をチラっと見る。 「なに? 俺なら平気だから言って」 「いやさ、武尊って怜の事異様に大事にしてんじゃん? あれ結構本気みたいなんだよね」  結城が心配そうに黒川を見る。
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