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そして、先に指令室に来ていた成海は。
「武尊」
新人教育に熱を入れてる橘に声を掛ける。
「怜、どうした?」
「うん、ちょっと話せるかな?」
「ああ、じゃあ俺は少し離れるから、その間要請さばいておけよ~」
橘が新人達にそう声をかけて成海を下のカフェスペースに誘う。
「離れちゃって大丈夫?」
成海が聞く。
「あ~大丈夫だって。もう二週間以上付きっ切りで教えてんだから」
「そっか」
「ココア?」
「うん」
成海が苦笑する。
「待ってろ」
橘が足早に注文に行く。
「変わんないな」
成海がクスっと笑う。
「ほい」
橘がココアとコーヒーを手に戻ってくる。
「ありがと」
成海がふわっと笑う。
「で、どうした?」
橘が向かい合わせに座る。
「うん、なんとなく武尊元気かなって」
「ふっ、なんだそれ」
「最近すごい仕事に打ち込んでるだろ? ちょっと無理してない?」
成海が困った様に橘を見やる。
「無理なんてしてね~よ。なに、大地くんになんか聞いた?」
橘が見透かすように成海を見る。
「・・・・・・そんなんじゃないけど、でも武尊最近休みも返上で新人教育してんだろ? 急にどうしたんだよ」
「どうもしね~よ。ただ・・・・・・」
「ただ・・・・・・?」
「指令室をもっと稼働させて、大地くんを手空きの状態にしたいんだ」
「悠ちゃんを?」
「そ。大地くん今ほとんど無休でやってるだろ? しかも仮眠取るだけですぐ仕事に戻る」
「・・・・・・そうだね」
「怜が手伝ってた時はだいぶ楽そうだったけど、書類がなくなって」
橘が思い出した様に笑った。
「はは、そうだったな」
「大地くんの手が空けば怜のフォローももっと出来るだろ」
「・・・・・・武尊」
「お前、最近体調いいって言っても、やっぱ目眩とか不眠とかあるだろ?」
「まあ、あるけど」
「大地くんの研究が進めば、お前の体もきっと、後遺症なんて抱えなくてすむ」
「・・・・・・それで無理してんのか?」
成海が俯き加減で言った。
「だから、無理してねぇって」
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