束の間の休息

4/13
前へ
/295ページ
次へ
「それに、それ俺のスエットだよね?」  成海の隣に潜り込みながら聞いた。 「・・・・・・借りた」 「・・・・・・寂しかったの?」  黒川が嬉しそうに後ろから抱きしめる。 「そんなんじゃねぇ」  成海が顔を赤らめて言った。 「俺は寂しかったよ? 二週間も会えないなんて初めてだったからさ」  黒川がギュウっと強く抱きしめた。 「・・・・・・無事で良かった」  成海がふぅっと息を吐き、黒川の肩に頭をもたげた。 「ヒロのフォローのお陰で無事に終了したよ」 「ふふ、ヒロがついてれば安心だろ?」 「うん、本当に助かった」 「ヒロは何にも言わなくても、望んだ以上に動いてくれるんだよね」 「・・・・・・凄いね」  黒川がまた少し落ち込んだ。 「・・・・・・どした?」 「ううん・・・・・・」 「疲れてんだろ? もう寝よ?」  成海がくるっと向き直り、優しく微笑んだ。 「・・・・・・うん、そだね」  成海の頭に手を回し、口付ける。 「ん・・・・・・」  成海は目を閉じ、黒川に身をゆだねた。  久しぶりのキスに黒川は胸が熱くなった。  怜くんの感触だ・・・・・・甘い。確かめる様に唇を這わせる。 「んっ・・・・・・」  成海の体が小さく震えた。 「怜くんっ」  黒川が思い切り成海を抱き締める。 「・・・・・・っ、柊斗、なんかあった?」 「え、なんで?」 「辛そうな顔してる」  成海が心配そうに見ている。 「・・・・・・どうもしないよ」 「本当に?」 「本当に」  うう、ヒロに劣等感を抱いて自己嫌悪に陥っているなんて・・・・・・言いたくない。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加