束の間の休息

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 さっきまでの落ちていた気持ちが嘘の様に、心が晴れ晴れとしていた。  怜くんと居ると、気持ちが上がるんだよなぁ・・・・・・。本当に不思議だ。怜くんの凄さってさ、実戦での強さや判断力はもちろんだけど、何より無意識に人を落ち着かせたり癒したりするところなんだよなぁ。そんなのやろうと思ったって出来る事じゃないし、しかも瞬時になんだよ。怜くんの人柄が成せる事なんだろうな・・・・・・。最近知ったんだけど、怜くん任務に就いてない時は、任務によって心が病んでしまった構成員の心のケアとかもやってるんだって。本人はそんな意識無いみたいだけど、他愛も無い話したりして帰ってくるんだって。悠真くんの言う事には、本人に自覚は無いけど、心理カウンセラー顔負けの事をやってるって。しかも免許は取ってないけど、それ相当の医療技術も持ち合わせてるって・・・・・・。信じられる? 医大とかに通ったわけじゃないんだよ? 多分、取ろうと思ったらすぐ取れる実力は持ってるって事。今はその必要性がないから取らないんだろうな。医大に通う時間もないだろうし。怜くんを見てると本当に人間の凄さをまざまざと見せつけられる。それは、悠真くんやヒロを見ててもそうだけど。本当に、俺とは違いすぎる。俺は、いつ追いつける? 彼らの事を知れば知るほど、実力の違いを実感する。それが、悔しい。みんなが言ってくれた。俺に期待してるって。何に期待されてるんだ? 俺に、そんな実力あるのか? 俺に、何が出来る? なんか、色々考えちゃうんだ、周りが凄すぎて・・・・・・。 『焦るなよ』  突然、成海の言葉が頭をよぎった。 「・・・・・・はは、そうだよね。まだ始めたばっかなんだ。焦ったって仕方ないよね。俺は、頑張るしかないんだ」  怜くんは俺を信じてくれている。頑張らなきゃ。 「・・・・・・う・・・・・・ん」  考えていると、成海の無邪気な寝顔が目に入った。 「・・・・・・今、俺の手の中に全てがあるじゃないか。落ち込んでるヒマなんかない」   そう新たに闘志を燃やすと、幸せな気持ちで眠りについた。
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