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見たい女
本日未明、〇〇署生活安全課の巡査部長が遺体で発見されました。現場では〇月〇日より捜索願いが出されていた会社員の女性が保護されており、警察で関係を調べています。
「怖いわね。最近はこんな事件ばかり」
昼下がりの休憩室。同僚と食事を取りながらお昼のニュースを見ていた。
「通り魔だのストーカーだの監禁だの、ほんとキモいわ。あなたも変な奴に引っかかっちゃダメよ」
「わたしは大丈夫ですよ。その辺、気を付けてますから」
ほんとにそう。充分、気を付けてる。彼に絶対バレないように。
わたしは彼の全部を知りたい。見たい。ただそれだけだから。憧れの先輩。別にわたしのことは見てくれなくてもいい。振り向いてくれなくても構わない。ただ彼の全てを知り尽くしたいのだ。
いくつかの非合法な手段を使って、彼の部屋の複製鍵を手に入れた。痕跡も証拠も残さず、彼の部屋に隠しカメラと盗聴器を設置した。パソコンにバッグドアを仕掛け、スマホも制圧済みだ。社内では、地味なただの事務員を完璧に演じているから、誰も私がそんな技術を持っているとは思わないだろう。
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