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「うん、“魔除け”にはなりそうだね」
「……え?」
「実はこの校舎、結構歴史が古くてね。時々幽霊が出たりするとか何とか……」
「こ、怖い事を言わないでよ、叔父さん!」
「はは、よくある学校の怪談て物だよ。それにその鈴は新たに学園に入った子達全員に配られるものだから、そういった意味はない……はず?」
「疑問形で言わないでください!」
「はは、それも怪談話として皆知っている話だから。さて、それで早く開けてみると良い」
何で来てそうそう怪談話を聞かされて不安を覚えさせられるんだろうと僕は思った。
思いながらドアを開いた。
中は、真っ白なのっぺりとした壁や廊下が広がっていて、上から金属のアームの様な物がのびていて、仲似たのは一人のちょっと生意気そうな男子で僕より背が低くて白衣を着ていて……。
そこでその人物が舌打ちした。
「意外に転校生が来るのが早かったな。だがしばし待たれよ、ぽちっとな」
そこでゲームのコントローラの様な物のボタンを彼が押した。
同時に何か機械音がして、壁や床がぐぐぐとせり上がったかと思うとひっくり返り、気付けば白い壁紙をはった、木製の床に変わり、彼のいた部屋には天井から二段ベッドが二 つ落ちてきた。
ちなみにこの部屋は、入口から見た範囲では、三つほどの部屋とお手洗いがついているらしい。
そこで彼が近づいてきて、上から下まで僕を見てから、
「随分と可愛い転校生だな。自分の事を平凡で普通の男子高校生と思っていそうで、東雲生徒会長が求愛しそうなタイプだ」
「!?」
「図星だろう、もっともあの生徒会長が珍しく一人の生徒を追いかけているのを見ていたから、求愛されていると踏んだのだがね」
「え、えっとそうなのですか……あの、初めまして、水無月悠真といいます。よろしくお願いします」
いきなり何でわかったと驚いたけれどそういうことらしい。
なので初対面であるから、とりあえず名前を告げて挨拶をする。
目の前の彼は目を瞬かせてふっと優しげに微笑んだ。
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