怪人物についての説明

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 そう呟くと同時に、彼は僕をギュッと抱きしめた。  直に肌と肌が触れ合う感覚。  けれど僕が望んだ結果はこんなものではなく。  しかも力が強くて逃げれない。  ちょっとだけ人肌が気持ちいい気がしたけれど、相手は男である。  帰りたい、お家に帰りたい、うわぁあああああん、と、心の中で悲鳴とともに僕は涙を流したのだった。  そんなこんなで抱きしめられていた僕は、何時までこんな風に男に抱きしめられているんだろうと思っているとそこで、僕は体を放された。  良かった、ようやく解放されたと僕は思っていると、東雲生徒会長は僕を見下ろして微笑み、 「キスをしていいかな?」 「!」  僕は髪を大きく振り乱しながら左右に首を振る。  それに彼はもう一度にこりと微笑み、 「キスしていいかな?」 「に、二回もそんな笑顔で言っても駄目です!」  何が楽しくて男とキスしなければならないのか。  僕は必死になって抵抗しようとしていた。  けれどこの綺麗な顔の東雲生徒会長が僕を見て、仕方がないなというように嘆息して、僕を抱きしめる腕の力を緩める。  良かった、これで逃走出来る、そう僕が安堵していると、 「何の騒ぎだ? ……ふん、また生徒会長様が、何かをしたのか ?」  どうやらこの東雲生徒会長というのは話題に事欠かない方であるらしい。  そう思ってその声のした方を見ると、こちらもまた生徒会長に何処か似た雰囲気のある美形が現れた。  しかも片方の瞳が赤い、オッドアイというに中二的そそられる属性を持ったイケメンである。  というか何でこの学園にはこんなに美形という、顔面偏差値の高い人種がそろっているのだろう。  何だかコンプレックスを刺激されるな、と思っているとそこで……僕に向けていたものとは全く違った、何処か侮る様な表情に生徒会長がなる。 「風紀委員長様も、朝食を?」 「お前がこの時間に来るとは思わなかったからな」  どうやらこの二人は仲が悪いようだ。  でも風紀委員長といいながら、髪が長いのも似合って入るのだけれど、何と言うかこう……僕の中では、理由は分からないが丸刈りの体育会系のイメージが付きまとうので、違和感を感じる。  でもこの生徒会長のこの表情、もしかしてこっちが本性だったりするのかな、と僕はふと思う。  だがそこで僕は気づいた。
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