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「な、何をする、放せ!」
「「「はいはい、あまり我々の手を煩わせないようお願いします」」」
「く、折角追い詰めたというのに、放せぇええええ!」
しかしそんな変態の抗議を無視して、彼らはそれを担いだまま廊下を走り去り何処かへと消えていった。
どうやら僕は助かったらしい。
「い、一体この学校はどうなっているんだろう……やっぱり叔父さん達に直訴して、元の高校に戻ろう、うん」
変な美形の男に言い寄られるなんて、嬉しくもなんとも無いどころか危機感しか覚えない。
そう僕は思って、学園長室に……とそこで気付いた。
すぐ側にそういった看板が掲げられている。
良かった、どうにか辿り着けたと僕は思いながら歩き出す。
しんと静まり返った廊下はやけに僕の足音が大きく響く気がする。
そして部屋の前にやってきた僕は、こんこんと扉を叩いてから、
「失礼します、本日転校して……」
そこまでしか僕は言えなかった。
何故って、中では真崎叔父さんが知らない美形のおじさんと……。
僕はそれを見て、空気を読んだ。
「ええっと、ごゆっくり」
「ま、待つんだ、悠真、これは違うんだぁあああ」
悲鳴のような叔父さんの声と何かを殴るような音が、僕が 部屋の扉を閉めると同時に聞こえたのだった。
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