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漸く終えた仕事。
くたびれたスーツ。
額に滲む汗を拭いながら、私はよろよろと会社を後にしました。
社会人三ヶ月目。
実家を離れ一人で暮らしていることも相まって、随分ストイックな生活が続いていたと思います。
借家は1LDK。
独り暮らしにはちょっと広すぎるかも知れませんが、都会にしては破格の値段だったので即決しました。
最近では当たり前のように女性も普通に働いていますが、私の職場には女性社員が私含め三人しかいません。
一人は私の二歳上の佐山さん。
短髪でスポーティな印象で、お肌がとても綺麗。
スタイルも良くて、スーツから見えるしなやかな脚の筋肉が美しく羨ましい限りです。
私に仕事を直接指導してくださっていて、その見た目から固いイメージを最初は抱いていましたが、話しているととても楽しい方で、今ではすっかり打ち解けました。
もう一人は私の五歳上の伊賀見さん。
ウェーブのかかった胸まである茶髪が艶やかで、化粧なども少し派手目な人です。
でも話しがとても面白い方で、色んな裏事情や噂話をいつも話してくださいます。
部署は違うのですが、佐山さんと私をなにかと目にかけてくださる素敵な先輩です。
女性が三人しかいないと言うこともあって、私達は仕事終わりに集まって食事に行ったり、先輩のお家にお邪魔してお泊まりなどするような仲になりました。(因みにお二人とも独身です)
帰宅してお風呂に入り、録画したドラマを見ながら遅めの夕食。
最近は専らコンビニ弁当です。
お肌に悪いとか、体によくない成分が入っているとか、そういったことはわかっているのですが、仕事の疲れからどうしても楽な方を選択してしまうのです。
せめてもう少し仕事が早く終われば、外食も出来るのですが……。
とにかく、この日もそんな風に過ごしていました。
ふ、と。
携帯を見ると佐山さんからメールが届いていました。
内容は「あと数日で仕事も落ち着くだろうから、そうしたら先輩方二人で私の家に乗り込んでもいいか」というものでした。
ここ数週間は特に忙しく、会話もろくにしていなかったものですから、私は直ぐ様快諾の返信をしました。
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