391人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
元凶にずばりと言い当てられて、俺は不覚にもうろたえた。
「なんで、それを……」
湊はにやりと笑って、脱いだカーディガンを傍らのソファの上に放り出す。
「俺とのセックス、不眠症に効くんだぜ」
「効くわけねえだろ!」
冗談じゃない。俺がなぜ眠れないでいると思ってやがる。
「ホントだって。俺、それで不眠症気味の客に重宝がられて、指名料稼いでんだもん。今日もそういうのだってホリーさんに聞いてきたんだけど、まさか相手が理玖だったとはな」
「おい。まさか、ホリーさんもお前の客なのか」
俺の知っている人間が湊と寝たかもしれないと思ったら、反射的に確かめずにはいられなかった。それでいて、訊いた次の瞬間にはそのことを後悔していた。
もし答えが「イエス」だったらどうするんだ。俺の安眠を妨げる悪夢のレパートリーが増えるだけじゃないか。
だが、湊は頭を後ろに跳ね上げて無邪気な笑い声を立てた。襟元のボタンを二つ外したストライプのシャツから伸びた喉が、無防備に俺の目に晒される。
「理玖、知らねえの?あの人、業界には珍しく妥協の余地のないストレートじゃねえか」
最初のコメントを投稿しよう!