やばい奴に出会っちまった。

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やばい奴に出会っちまった。

『あの、私、最後にもう一度舞台に立ちたいんです!』 「は?」 俺は耳を疑った。 こいつと会ったのは、3時間前。 昼休み。 俺は学校の屋上でたばこを吸っていた。 この屋上のカギは普段は開いていない。 俺は数少ない鍵を持っている一人だ。 もちろん生徒は来ない。 俺は屋上の柵にもたれて空を見上げた。 あーだるいな。 そろそろ夏休みの宿題プリントの準備しなくちゃだな。 そんなことを考えていると、 『あのっ!』 声が聞こえた気がした。 俺はまわりを見回した。 『あの、右です!』 右を見る。 目の前に顔。 至近距離過ぎて俺は後ずさった。 「あっぶね。」 危なく落ちるとこだった・・・。 『あの、大丈夫ですか?』 一人の女子生徒が立っていた。 「ここは立ち入り禁止だぞ。」 『あ、はい。すみません。』 彼女は頭をぺこっと下げた。 こいつ、何年だ? 見たことねーけど。 『あの、数学担当で演劇部顧問の宮本先生ですよね!?』 「あぁ。」 『私、夏目綾音(なつめあやね)っていいます!お願いです!助けてください!』 「・・・。」 『あの・・・聞こえてますか?』 「あ、悪い。ちょっとフリーズしてた。」 俺はこいつに会ったことを後悔することになる。
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