夏休み

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夕方。 俺は試験問題を作って、一服するために屋上にいた。 『先生。』 目の前には夏目。 音もなく現れるこいつ。 最初は驚いたが、最近慣れてきた。 「お前か。練習はどうだ?」 『すっごく楽しい!』 夏目はオレンジ色の空を見上げる。 「お前、ほんとに演劇好きなんだな。」 『はい。私、生きてた頃すごく人見知りだったんです。人に自分のこと話したり、表現するの苦手で。』 夏目はうつむきながら控えめに。 だけど一生懸命話してくれた。 『だけど、友達に誘われて入った演劇部で、自分の表現したかったこと、だんだん出せるようになりました。』 「そうか。」 俺たちの間に風が吹く。 『ねぇ、先生?・・・私ここにいていいのかな?』 それは夏目の普段言えない心の声のような気がした。 「いいかどうかはわからない。神様じゃないとな。でも大切なのは”いいか”じゃなくて夏目が”いたいか”じゃないのか?」 『先生・・・』 「少なくても、あいつらはお前を必要としてる。お前がくる前と今じゃ、部の雰囲気が全然違う。」 夏目の瞳から一滴涙が流れた。 その姿が、すごくきれいだった。 ・・・俺何考えてんだ。
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