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新学期
新学期が始まる。
文化祭までは残りわずか。
でも、その前に。
「ねー宮もん、数学の試験問題教えてよー。」
夏休み明け恒例の実力テストの勉強で、追い込まれていた。
俺は桜木のクラスの数学担当だから、泣きついてきた。
教えるわけねーだろ。
「数学なら柳に聞け。成績いいらしいから。」
「柳せんぱーい」
「わかったから。問題見せろ。」
隣のテーブルでは、
『夏目先輩、ここわかんないです!」
「俺も俺も!」
『えーっとここはねー』
夏目が1年生コンビに英語を教えていた。
英語が得意だったらしい。
「悪いな、夏目。みんなの勉強みてもらっちまって。」
『うんうん、みんなの役に立てて嬉しい。教師になりたかったんです、私。人見知りなのにおかしいですよね。』
「いや、俺も別に人つきあいが好きなわけじゃないし、いいんじゃね?」
『そぉなんですか?あ、人好きじゃないなら幽霊はありってことですか?』
夏目ははにかみながら笑っていた。
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