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「おまえ、その皮膚、カッコいいな!」と先輩Cは笑顔で褒めるような肯定的な言葉を口にした。流はその時少しだけその先輩Cの言葉に驚きと不思議な気持ちだった。
醜い皮膚をカッコいいと言うなんて、こんな捉え方をする人もいるんだ、ただ、お世辞なのか(?)とも思った。
高校の頃、別の同級生Eから「おまえの皮膚、ジャミラ(ウルトラマンの怪獣)みたいだな」と言われ、やはり流はバカにされるんだと劣等感を持った。
ただ、確かにジャミラみたいに乾燥しすぎた皮膚だから、客観的事実なんだろうと思ったら、その時それほど流の心は傷つかなかった。いや、傷つかないように思い込みたかったのかもしれない。
しかし、やはり流の劣等感は心の奥底で渦を巻き、好きな女性ができても積極的にアプローチを続ける事はせず、心のどこかで歯止めをかけた。なぜなら、魚鱗癬は遺伝する可能性もあるという事をある日どこかで知った。
もし好きな女性と結婚して子供を産んだとしても、子供やその孫に遺伝した場合、流は恨まれる先祖の中の一人になるのではないかと恐れたからだ。
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