第1章 心霊アプリ

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今度は日本でも有数な心霊スポット、 N県の『首切り峠』だ。 此処は麓から頂上まで緩やかな ワインディングロードとなっている。 その頂上付近に通ずる県道の片隅に、 小さな地蔵菩薩の祠が存在する。 小さな祠の中に、一体だけ地蔵菩薩が 祀られている。 戦国時代には、戦に敗れた落武者達が 此処まて逃げて来たのだが、敵軍の 追っ手に捕まり、全員斬首されてしまい、 それから後に首切り峠と云われるように なった歴史がある。 不思議なことに現場周辺では オートバイ事故が多く、ライダーの 首だけが切断される事故が多発している 曰く付きの場所だ。 早速、検索ボックスにキーワードを入力 したところ、背中にゾクゾクと悪寒が 走った。 「おかしい、人の気配を感じる」 そう思った瞬間、肩に誰かが手を置いた。 ビクッとしたまま、微動だに出来ない。 条件反射的に冷や汗が出てきた、そして 震えが止まらない。 背中に物凄い圧迫感があり、恐怖が限界に 達していた。 そして、両肩に手が置かれて次第に両手で ゆっくりと首を絞め始めた。 思い切って後ろを振り返ると、 恐神トンネルの前に立っていた、髪の毛の 長い女性だった。いつの間にか、 ストリートビューの中から死霊が僕の 部屋に、瞬間移動して来たのだ。 「ギャーー!!」 僕は必死になって部屋を飛び出し、裸足の まま家を出て走り出した。 とにかく、家から離れたかった・・・ 無我夢中だった。 かなり遠くまで走って来ていた、慌てた せいか裸足のままだ。 周りを見渡すと、土地勘の無い場所だ。 正確な時間はわからないが、かなり 薄暗くなっている。 「家に帰りたく無いよ、今夜は慢喫にでも 泊まろ」 そう思い、歩きながら首を巡らせていると 次第に深い森の中に迷い込んでしまった ようだ。 思わず首を捻った、都内にこんな深い森が あっただろうか。周囲は高い木々に囲まれ 暗闇に包まれている。 やっと真っ暗な空間に目が慣れてくると、 50メートル先に何かが見える。 「こんなことがあるのだろうか?!」 驚愕と同時に絶句する、それはストリート ビューで観た魔の『恐神トンネル』 だったからである。 (終)
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