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……そう、私はどこにでもいる、女子高生だと自負していた。
少しばかり他の女の子より背が高くて、男子より女子にモテる、女子高生。あだ名は『王子』。それが私だ。
ちょっと変わったところと言えば、ボンクラアホクサクソ親父こと実の父親の借金癖がひどいこと。
母親ですら、私を置いて遁走したこと。
そして今まさに、父が借金を繰り返していた闇金の取り立て屋が、私を品定めしようとしている事だった。このボンクラアホクサクソ親父は、借金の代わりに私を差し出すことに決めたらしい。
恐怖のあまり声が出ない、ということは本当にあるらしい。『身の危険が迫った時は、大きな声を上げて助けを求めましょう』と小学校の頃から繰り返し教わっているが、喉がカタカタ震えて、声にすらならない。
それに、声を出しても誰も助けてはくれないだろう。ボンクラアホクサクソ親父だって部屋の隅っこで震えている。自分の身を守ることに必死だった。
「おら、早う服脱げや」
ハゲのヤクザがそう言って私に詰め寄る。シャツの合間から見える色とりどりのソレは、……刺青と言うやつか。
私は首を振った。声が出なくても、首は動いた。
もう一人いる、やせた方のヤクザが、私の頭を掴んで無理やり上を向かせた。頭皮がビリビリと痛む。
「顔はええな、これはようさん客がつく」
「問題は体やな……何かガリガリにしか見えんな、…」
「それをこれを確認するんやって、おら、俺らが優しい内に脱げや。嬢ちゃんも痛い思いしたないやろ?」
「それとも、無理やりされんのが好きか?とんだどスケベやな」
やせた方が私の後ろに回り込み、体を守っていた腕を掴み、無理やり後ろに回して羽交い絞めにする。
ハゲの方がゆっくり歩み寄って、制服のブラウスを思いっきり引き裂いた。
「や……っ!!」
「なんや、えらいちっさい胸やな~」
「…うるさい!離せ!」
「何や、威勢はまだ残ってたんか…。でも残念やな、お前がもう売られるんは、決定事項なんや」
「まあ、ソレの前に俺らが味見……ってな」
どこにでもいる女子高生だった、はずだ。
このままフーゾクに沈められるなんて、たまったもんじゃない。
でも、どれだけ体をよじっても、逃げられそうにない。
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