1 借金のカタって、私ですか?!

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心の中で助けを求めた。……何に? 物語の中に出てくるような王子様なんて、どこにもいない。そばにいる父親は何の役にも立たない。 私は自分の運命を呪うしかなかった。 ギュッと目を閉じる。ハゲの気持ちわるい手が、お腹からねっとりと胸に上がってくる。その手が下着に指が触れた時、バンっと大きい音が聞こえて光が指した。 「誰や!」 「今いいとこなんや、邪魔すんなや!」 恐る恐る目を開ける。目の前には仕立てのいいスーツを着た人が立っている…。大きめのアタッシュケースを片手に、私たちを睨むように目線を下げていた。 ……その目の色は、日本人からかけ離れた、エメラルドのように緑色をしている。 「大の男2人掛かりで、そんないたい気な女性に暴力とは情けない」 「うっさい、こいつはもう俺らが買うたんや」 「いくらで?」 「へ?」 「彼女の値段だよ…一体、いくらしたのかな?」 ハゲのヤクザは私から離れ、ちゃぶ台に置いたままだった借用書を、彼に見せつけた。クソ親父が6,000万も借金してやがったのは今日初めて知ったことである。 「……この程度で風俗に売るとは、お前らは彼女の価値を分かっていないようだ」 「は?」 「何言うとんのや……こんな小娘に…、頭大丈夫か?」 「……好きなだけ持って行くがいい」 そのスーツの人は、アタッシュケースを開く。その中には、帯で止められている大量の現金が敷き詰められていた。 「彼女を買うのは、この俺だ」  ドサッドサッと音を立てながら、札束が床に落ちていく。数えるのもおっくうになる量だ。 「ほら、好きなだけ持って行け。……そして二度と彼女の目の前に姿を現すな」 ハゲとガリガリのヤクザ二人は、もう一度お金を詰めなおしたアタッシュケースごと抱えて、逃げるように出ていく。 体が解放された私は、ぼんやりとあれは総額いくらしたんだろう?と考えていた。恐怖から解放された頭では、思考回路が上手く回らない。 クソ親父はへっぴり腰だったけれど、それでも私に近づいてくる。……しかし、それよりも先に、スーツの人がその上着を脱いで、私の肩にかけた。 「間に合ってよかった」
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