僕の日常1

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僕の日常1

ジリリリリリリ。ジリリリリリリ。6時。 「ああ、朝か。」 僕は体を起こし、枕元のスマートフォンを手に取る。見覚えがたしかにある自分のスマートフォンだ。 好きなバンドの手帳型ケースを開き、アラームを止めた。時刻はきちんと昨日の僕が設定した時刻をさしていた。見事に正確。 寝ぼけた状態で布団から起き上がり、頭を掻きながらリビングの方へと向かう。リビングには誰もいない。驚くことはない。僕は早起きなのだ。十数分待てば母親が起きてきて急ぎめで朝食を作り始めることだろう。またあの言葉を吐いて。 僕はスマートフォンのSNSアプリを開き、自分とは全くと言っていいほど関わりのない人たちの投稿を眺める。これは日課のようなものだから「おもしろい」「おもしろくない」の世界ではないが、決してつまらないものでもない。カーテンは締め切られているので外の様子はわからない。興味もない。 ある程度の投稿を確認したところで、母親が2階から降りてきた。母親は、いつも僕が先にリビングにいて、待っていることが、自分の罪のように感じているのだろうか。 「ごめんね。」と謝る。僕は心が詰まる。そして、少しむかつく。 母親がしているのは、僕には迷惑でしかない謝罪だ。多分母親は、息子よりも早く起きて朝食を作ることが正しいとでも思っているのだろう。理解できない。そんなことを気にして謝るのなら、「おはよう」でも言えばいいのに。母親はこうして僕の思考を毎日少しずつ嫌な奴に変えていく。だからなるべく母親とは同じ空間で過ごしたくなくて、早足で朝食を済ませて家から逃げるように学校へ行くため自転車で走り出す。ただいま6時50分。 イヤフォンで音楽を聴きながら最寄り駅までの10数分を楽しむ。7月にもなるとこの時間でも、じめっとした暑さを気持ち悪く感じる。僕の住む家は、K市の東の方の「馴州」という所で、車通りも少なく、この時間帯だと人とすれ違うということもないので、気分が乗ると聴いている曲に合わせて歌ってしまう。恥ずかしいとも思わない。不思議な感覚。まるで「この時間は君のために用意されているんだよ。」と神様に認めてもらっているような気がする。 そうして最寄りの駅「馴州三軸」に無事に到着した。月極制の駐輪場に自転車を止めて、定期を使ってホームへと入る。毎日代わり映えのない寂しい雰囲気だここは。 そうしてふと、君のことを考える。。
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