拝啓 母へ

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拝啓、母へ。 先日、25歳になりましたが、もう「結婚はいつ?」と聞くのやめて下さい。離婚している両親を見て、なかなか結婚に幻想は見出せません。そこはご理解下さい。せめて、社会人として一人で生活していることだけでも肯定して下さい。「愛は負けても親切は勝つ」米国の作家の言葉です。愛は信じられませんが、私は、せめて人には親切であろうと思います。 私自身は、今の仕事に慣れてきました。もう後輩に教える機会も多い立場です。コンビニで働くことになったのは連敗続きの中で唯一ひっかかっただけですが、47連敗した後にやっと決まった仕事ですから、これも縁なのだと思います。 だいぶベテランっぽくなってきたところで、不安材料投入です。とてもめんどくさい後輩が入ってくることになりました。もう、嫌になってきます。よりによって、年上の後輩です。男性です。それだけでも面倒くさいのに、どうやらお金持ちの人らしいのです。お金持ちがなぜコンビニ店員なんてやる必要あるのかと思うのですが、どうやらフラフラとニートのままでは良くないということで社会勉強のような意味合いがあるようなのです。でも、この後輩が29歳ですよ。ちょっと、29歳になるまで何をやっていたんだって感じですよね。でも頑張ります。店長がこの人を雇うだけで臨時ボーナスをもらえたそうなので、相当お偉い身分の人なのでしょう。すごく緊張しますが、頑張ります。 敬具
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