舞踏会と記憶と未来と

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「はい……。これからもどうぞお側にいさせてください」 「愛している」 小さくそう聞こえた後、引き寄せられた。すぐに温もりが唇に触れ、何度も慈しむように啄む。 光が溢れるホールから隔離された、彼の腕の中で、その甘い口づけに酔いしれていた。 「本当はきちんと伝えるまで手を出すのは待とうと思ってたんだ」 「そうなんですか!?」 あれほど何度も手を出してきた人が……とても信じがたい。そう思っていると少しふて腐れたように呟く。 「そりゃあ探し続けてやっと見つけ出した女は、俺のことなんてすっかり忘れてるし?まったく思い出す気配ないからいい加減我慢の限界だったんだよ」 「そ、それは……」 申し訳ない。。 私達は城に帰ってくるなり私の部屋へ向かった。引き出しに眠っていたあのピアスを取り出した。 「やっと一対になりましたね」 「ほんとに、やっとだな」 「ううっ。だからさっきからずっと謝ってるじゃないですか~」 しばらくこれをネタに虐められそうだ。 膨れる私の頬をするりと撫でると、耳にそっと触れてくる。真剣な顔が近づき、体を硬ばられていると、「できた」と離れていった。 私の耳に揺れるのは彼と同じルビーのピアス。彼が求婚の証だと言っていた。それを改めて実感すると満ち足りた気分になる。 「お母様にも、見て欲しかった」 「その事なんだけどな……」
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