219人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい……。これからもどうぞお側にいさせてください」
「愛している」
小さくそう聞こえた後、引き寄せられた。すぐに温もりが唇に触れ、何度も慈しむように啄む。
光が溢れるホールから隔離された、彼の腕の中で、その甘い口づけに酔いしれていた。
「本当はきちんと伝えるまで手を出すのは待とうと思ってたんだ」
「そうなんですか!?」
あれほど何度も手を出してきた人が……とても信じがたい。そう思っていると少しふて腐れたように呟く。
「そりゃあ探し続けてやっと見つけ出した女は、俺のことなんてすっかり忘れてるし?まったく思い出す気配ないからいい加減我慢の限界だったんだよ」
「そ、それは……」
申し訳ない。。
私達は城に帰ってくるなり私の部屋へ向かった。引き出しに眠っていたあのピアスを取り出した。
「やっと一対になりましたね」
「ほんとに、やっとだな」
「ううっ。だからさっきからずっと謝ってるじゃないですか~」
しばらくこれをネタに虐められそうだ。
膨れる私の頬をするりと撫でると、耳にそっと触れてくる。真剣な顔が近づき、体を硬ばられていると、「できた」と離れていった。
私の耳に揺れるのは彼と同じルビーのピアス。彼が求婚の証だと言っていた。それを改めて実感すると満ち足りた気分になる。
「お母様にも、見て欲しかった」
「その事なんだけどな……」
最初のコメントを投稿しよう!