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「よ、どうした暗い顔をして?」
講義が行われる棟に向かっている最中、後ろから肩を叩かれ俺は現実に戻ってきた。
気付くと後ろにはいつもつるんでいる友達の姿があった。
「そんなに暗い顔をしていたか?
いつも通りのことだろうに。」
まあそうだなと相手は相槌を打った。
いや、それはそれで否定してほしいところではあるのだが。
まあ、どちらでも別に構わないけれども。
そう、俺が暗い感じなのはいつものことだ。
逆にどうやったら明るい感じになれるのか、不思議でならない。
そんなに生きていて楽しいのだろうか?
「はあ、そんなんじゃ彼女もできないぞ?」
「そういうお前には彼女いるんだっけ?」
いないなと言って笑う友人をどこか羨ましく思う。
こいつは明るい奴だった。
俺より少なくともいい人間なのだろう。
まあ、そんなことを面と向かって言ったりはしないけれども。
「それより、お前レポートやったか?」
ああ、いつものパターンだ。
俺はレポートはちゃんとやっていることがほとんどだから、それを利用してこの講義の時間にやろうという魂胆だ。
まあ、別にいいんだけどさ。
どうせ俺も真面目に受けているわけではないのだから。
「ほらよ。」
俺はレポート用紙を渡してやる。
どうせ時間つぶしでやっていただけだ。
見たいというのなら見せてやればいい。
「さすが、お前のこと信じてたぜ。」
調子のいい奴だ。
まあ、そんなところも羨ましく思えるところなんだけどさ。
俺はそんな風に人に頼ったりはできないだろうから。
「それより、そろそろ行こうぜ。
ある程度いい席取らないとレポートができないぜ。」
別に俺がやるわけではないが、ある程度自由にやるにはその方がいいだろう。
そうして俺達は少し急いで講義室に向かったのであった。
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