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第一話「リーベ」
隣にいた子どもが言い返すと、最初に口を開いた子どもは戸惑った顔をした。
その様子を、微笑みの張りついたままの顔で見ていた占い師は、懐から駒を全部出して本来のゲームを始めた。子どもたちは考えごとをやめ、目の前の遊びに夢中になった。
占い師は小さく笑いながら、男でもない女でもない声で囁いた。
「この国にも、様々な種類の人間がいる。王、貴族、平民、そして勇者、魔王、革命家……。さあ、正しいのは誰だ……?」
その庭では色鮮やかな薔薇が咲き誇り、アーチを飾っていた。
豊かな木々と季節の花、噴水、女神を模した石像、そして大理石製の椅子で彩られた、典型的な貴族屋敷の庭だ。
薔薇のアーチから少し離れた芝生の上で、二人の少年が剣をふるっていた。
歳はどちらも同じくらい、十歳前後だ。
黒髪の少年はレイ。凛々しく、聡明そうな顔つきをしている。
金髪の少年はリーベ。異国の響きの名を持ち、少女と見まごうような穏やかな顔つきをしている。
レイが片手で短剣を振り下ろすと、それを受けたリーベの体はいとも簡単に吹き飛んだ。
「いたた」
ウェーブした金の髪が、光に透けて揺れた。
起き上がろうとするリーベに、レイは手を差し伸べて手伝った。
「やっぱり、若様は強いや」
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