775人が本棚に入れています
本棚に追加
リーベはそう言うと、柔らかく目を細めて笑った。
「レイでいいって言ったろ。おれたちは友達なんだから」
そう返したのは、意志の強そうな瞳をした黒髪のレイだ。
リーベは笑って頷いた。
「あ、レイ! 手首のところ、怪我してる」
手首についたかすり傷を見つけて、リーベが叫ぶ。
「ほんとだ。どこかで擦ったかな」
「ちょっと待ってて」
リーベが傷口に手をかざして短い呪文を唱えると、ほのかな光が発せられ、次の瞬間には元から何もなかったかのように傷は治っていた。
「本当にすごいな、おまえの魔力は」
跡形もなく元の状態に戻った肌を見て、レイは感心した。
「ぼくは大人になったら司祭になって、もっともっと回復魔法の勉強をしたいんだ」
少し恥ずかしそうな顔をして、リーベは笑った。
「おれたちが大人になった頃、『竜魔王』が復活して世界を混沌へと陥れる……。おれの祖父も、父も、かつて勇者として魔王を倒してきた。その血を受け継ぐおれも、魔王を倒す旅に出なきゃならない」
レイはリーベのほうに向き直り、改まって言った。
「リーベ、そのときはおれについてきてくれるな?」
最初のコメントを投稿しよう!