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金髪の少年は、笑顔を崩さないまま答えた。
「もちろんだよ。だってレイは伝説の『暁の勇者』になる男で、ぼくはその友達なんだもの。レイのパーティに入るために、僕は司祭になりたいんだよ」
そのとき、花が咲き誇った茂みの奥から、透き通った声がした。屋敷のある方向から現れたのは、一人の美しい女性だった。長い亜麻色の髪を三つ編みにまとめ、片側から垂らしている。着ているのは腰を絞った、優雅な水色のドレスだ。
「ふたりとも、疲れたでしょう。そろそろ昼食にしましょう」
その女性の姿を見た、レイとリーベが交互に言う。
「母上」
「奥様、ありがとうございます」
リーベはお礼を言いながら、深く頭を下げた。するとレイの母であるロザリアは腰を落として目線を子どもたちに合わせ、優美な微笑みをたたえて言った。
「リーベ、そんなにかしこまらなくともよいのですよ。我が国の法では孤児は貴族になれない……。だから養子ではなく召使いと同じ扱いで、申し訳ないと思っています。でもお前だって、大切なうちの子ですもの」
その言葉に、リーベは慌てて両手を前に出し、ロザリアを制止した。
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