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「たしかピングーの絵がかいてある便せん」
ピングーってなんだ。
「ペンギンですね」
なんだ。心を読んだのか?
「違います。あなたが何を言ってるか、分からないという顔をしてたのでペンギンと言ったんです」
「あなたは魔法少女という噂を信じた」
「そりゃ信じるよ。今のを見れば。手品じゃないし、タネなんか仕込みようがないじゃないか」
「じゃあ、取り敢えずこの手紙、私が預かっていいですか?」
「誰が書いたか分かるんだったら」
「魔法少女、どうだった?」
「いや、本当にいるんだな」
「オカルトの世界へようこそ」
「何、それ。オカルトじゃないよ。あれは現実だよ」
「犯人は分かった?」
犯人って、ラブレター犯なんだろうか。
「今調査中です」
「頑張ってよ、名探偵」
探偵か?
推理で謎が解けるなら、簡単だよ。
情報が少なすぎるよ。
落ちていた手紙だけで犯人を捜すなんて
「魔法少女だよりだな」
「で、いつ、答えを教えてくれるんだ」
そろそろ1週間。魔法でどうやって探すんだろう。
紙飛行機でも折って、飛ばすと犯人にたどり着くとか…。
魔法陣で犯人の魂を呼び出すとか…。
「きた、きた」
そろそろ来ると思ってた。
「犯人は?」
「犯人って」
「いろいろ調べたわよ。で、犯人は分かったわよ」
「分かったの、すごい」
「ていうより、あなた、自分で探してみない」
もう一度封筒を見てみて、まず気になるのは…、筆跡でしょ。
筆跡?字はきれいな方だ。
その字見て、何も感じない?
「えっ?」
「よく見てみてよ」
「分からないの。へぼ探偵ね」
「ヒント少なすぎ」
「観察と洞察よ。その字は誰が書いたのか?君は一つの偏見に囚われてるわ」
「偏見?」
「そう、ラブレターを出した相手に対して決定的な思い込みをしている」
「思い込み?」
「男子を好きなのは女だと言う偏見よ」
「えっ」
その字、よく見てみなさい。
ごつい字。
男の子の字よ。
しかもとっても可愛くてキュートな勘亭流文字。
キュートじゃないわ。
歌舞伎文字じゃないの。
「犯人は男だっていうの?」
「そう、男よ」
まさか、田端君…。
いや、字が違う。
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