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「じゃあ」
「宝城直也先輩」と文字を書いた。
「えっ、分からない」
「ほら、字をよく見て」
「封筒の字と見比べて…」
そっくり。
「そう、つまりこのラブレターを書いたのはこの私」
「えっ、魔法少女?」
「そう、私。だから封筒を開けなくても中身が分かったわけ」
男じゃないじゃん。
「で、私はあの日、先輩に想いを告げようと書いた手紙を落としたわけ」
この子が犯人。
そう思ってみると、本当に魔法少女は可愛かった。
可愛すぎるだろ。
そのロリータファッション。
宝城先輩はきっと恋をするわ。
悔しい。
本心から悔しい。
私、先輩を好きだったんだ。
生身の人間に恋しちゃってたんだ。
「でもあのラブレター、渡す気は元々なかったの」
ホッとしてる、その言葉に、私。
「だからあなたが来た時、ホッとした」
浜浦が可愛すぎてクラクラする。
「だってふられるに決まってる」
フラれるわけないじゃん。
でも私応援したくない。
応援したら、きっと結ばれる。
「そしてあなたからラブレターを回収したわけ」
浜浦の悲しい顔。
「私、どうかしてた。先輩の重荷になるつもりはないんだ。男の子が好きなんて、私、変でしょ。だから先輩にそのことを知られたくない。このまま想いを告げずに卒業を迎えたい」
変じゃないよ、普通だ。
「で、なぞは解けたの?」
「解けません」
「じゃあ封筒返してもらおうかな」
「それは渡せません」
「どういうこと?」
「先輩のことを好きな相手に接触しました。
でも先輩に想いを伝える気はないそうです」
「だからラブレターは本人に返しました。で、先輩ももらわなかったこととして処理してもらえせんか」
「でも気になるよ。誰?」
「言うわけないじゃないですか」
「美人?」
「どうでしょう…、美人かもしれませんね」
「じゃあ教えてよ」
「嫌です」
「いいじゃん、美人なんだろ」
「じゃあ。あれ書いたの私だったら、付き合ってくれます」
「それはないな」
「あっさりふられた」
「だって君のこと知らないし、年下だし、ちょっとね…」
「大体あの手紙書いたの君じゃないでしょ。字が違うし」
「そうですね」
「男っぽい字なんだよね」
「自分で探してみてください」
「ヒントちょうだい」
「ヒントですか?ラブレター書いたの年下ですよ」
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