3/17
前へ
/17ページ
次へ
教室に入ると、幼馴染の孔明君を探した。 私が口をきける数少ない男子だ。 要はお隣さんちの一人息子。 一人っ子だから甘えん坊なのか。 とにかく我がままで泣き虫だ。 もやしっ子という言葉は孔明君のためにあるようなもので、とにかく痩せている。 少しだけポッチャリ体型の私には羨ましいスタイルである。 食べても食べても太らないせいか、とにかくいつも食べ物を手で口に運んでるイメージがある。 あれで太らないんだから、アニメのおデブキャラにリアル感がまったくない。 今日もうまい棒を手に現れた。 「遅刻ギリギリ」 「なんだよ、ギリギリなんだからセーフだろ」 「相談したいことがあるんだってば」 「女の相談なんか、俺は答えられないぜ」 「何、モテキャラきどってるのよ」 「うまい棒食うか?」 孔明は明太子味を差し出した。 「私を誘惑しないで」 行動がいちいちデブキャラだ。 「で、相談ってなんだよ」 と、先生が現れた。 「あとでな」 「なんだよ、ラブレターか、今時」 「だからいいんじゃない。メールじゃないんだよ。想いを伝えようと必死なんじゃないの」 「それなら自分の口で言えよな」 「それができないからのラブレターでしょ」 「メールがダメなら、ラインでいいのに」 「だから…、それって安っぽいからよ」 「そうかなあ…、メールやラインじゃ困ることがあるんじゃないのか」 「何よ、それ」 「例えばグループラインとかなら、他人に読まれるし」 「なるほどねえー」 「いや、そうだ、部活の先輩かもしれない」 孔明君はどっか人と発想が違う。 そのせいかたまに核心に触れてたりすることがある。 テスト勉強をしてないのに百戦錬磨。 とにかく読みが鋭いのだ。 ヤマをはったところが全て出るらしい。 とすれば、あながち間違ってないのかもしれない。 「もし好きとか言ったら、部活中で話題になるし、部活の先輩とか、先生以上に怖い存在だったりするしな」 「まあ、帰宅部の私には分からないことね」 「俺も帰宅部だぞ」 確かにそうだ。根暗同盟なのだ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加