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教室に入ると、幼馴染の孔明君を探した。 私が口をきける数少ない男子だ。 要はお隣さんちの一人息子。 一人っ子だから甘えん坊なのか。 とにかく我がままで泣き虫だ。 もやしっ子という言葉は孔明君のためにあるようなもので、とにかく痩せている。 少しだけポッチャリ体型の私には羨ましいスタイルである。 食べても食べても太らないせいか、とにかくいつも食べ物を手で口に運んでるイメージがある。 あれで太らないんだから、アニメのおデブキャラにリアル感がまったくない。 今日もうまい棒を手に現れた。 「遅刻ギリギリ」 「なんだよ、ギリギリなんだからセーフだろ」 「相談したいことがあるんだってば」 「女の相談なんか、俺は答えられないぜ」 「何、モテキャラきどってるのよ」 「うまい棒食うか?」 孔明は明太子味を差し出した。 「私を誘惑しないで」 行動がいちいちデブキャラだ。 「で、相談ってなんだよ」 と、先生が現れた。 「あとでな」 「なんだよ、ラブレターか、今時」 「だからいいんじゃない。メールじゃないんだよ。想いを伝えようと必死なんじゃないの」 「それなら自分の口で言えよな」 「それができないからのラブレターでしょ」 「メールがダメなら、ラインでいいのに」 「だから…、それって安っぽいからよ」 「そうかなあ…、メールやラインじゃ困ることがあるんじゃないのか」 「何よ、それ」 「例えばグループラインとかなら、他人に読まれるし」 「なるほどねえー」 「いや、そうだ、部活の先輩かもしれない」 孔明君はどっか人と発想が違う。 そのせいかたまに核心に触れてたりすることがある。 テスト勉強をしてないのに百戦錬磨。 とにかく読みが鋭いのだ。 ヤマをはったところが全て出るらしい。 とすれば、あながち間違ってないのかもしれない。 「もし好きとか言ったら、部活中で話題になるし、部活の先輩とか、先生以上に怖い存在だったりするしな」 「まあ、帰宅部の私には分からないことね」 「俺も帰宅部だぞ」 確かにそうだ。根暗同盟なのだ。
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