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私、できれば結婚までは恋愛はいいかなって感じなのよね。
人間関係さえ真面に築けないのに、恋愛なんかもっと面倒臭いし、青春したいやつは勝手にやってればって感じ…。
ラインで告ろうにも私のラインには男子がいない。
孔明君すらいない。
数少ない女友達のグループラインに男子に繋がるネットワークはあるわよ。
でもそんな魔境に踏み込むことは、最弱勇者でダンジョンに踏み込むようなものよ。
ボスキャラがすごいイケメンだとしても、恋愛はいいや、面倒臭いし。
告られそうになったら、ラインから抜けちゃうし。
私のことはほっといて。
ネットゲームだって、ボッチでやってるくらいだし。
引きこもりのネットの住人には、ネットの世界にいろんな知り合いがいるかもしれないけど、私はネットの世界でも知り合いはほとんどいない。
ヤバい、キングオブボッチの私にこのラブレター事件簿は難題すぎる。
でもほっとけない。
落とし主は勇気を出して告ろうとしてるのに…。
これじゃ魔剣を家に忘れてきた勇者だわ。
取り敢えず一人でできるところまでやってみよう。
ラブレターの一行目。
「先輩のことをずっと見てました」
ベタ中のベタ。
「先輩か?」
ということは二年か三年生。
やっぱ宝城直也なんて、宝塚張りのキラキラネーム。
もし同じ学校の生徒なら、どんなに「地味だ地味子」でも誰か知っているだろう。
私の数少ない友人の田端に聴いてみよう。
孔明君と同じ、お隣さん。
そう、孔明君、私の家、田端君。
三人の幼馴染。
ただ田端君は小学生の頃に引っ越してきたんだけどね。
「宝城直也…、知ってるよ」
田端は言った。
「さすが、イナバ物置」
チャラ男ネットワークは侮れない。
「なんだよ、それ」
「100人乗っても大丈夫」
「友達100人できるかなだろ」
田端というのは小学生の頃からの同級生で、とにかく女好き。
確かに小学生の頃からマセていたが、ここまでチャラ男になろうとは思っていなかった。
イケメンなのをいいことに、とにかくモテまくっている。
本人が多めに風潮してるのかもしれないが、聞きたくもない自慢話を毎日のように聞かされる。
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