第4章 早春。

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ハルキさんはニコニコとユウスケ君に連れられてくると、 タカシさんの腕の中に収まって、くたりと寄りかかる。 結構酔ってる。 私が、ハルキさん、大丈夫?と思うと、ユウスケ君と、タカシさんが口喧嘩を始めた。 「だから、デュエットは止めろって言ってるだろ。」とタカシさんが不機嫌な声を出す。 「僕はこの場に合う曲を選んだだけだ。」とユウスケ君がタカシさんを睨む。 「人の妻を見つめるな。」とタカシさんが言い、 「あんたと会う前からハルは僕の大事なオンナだ。」と言い返す。 まあまあ、と永野さんと、秋太さんが間に入る。 「俺たちのお祝いの席ですから。仲良くしてね。」 とサトシが笑うと、ユウスケ君がカウンターに戻って行った。 「2人とも大丈夫?」と私がサトシに聞くと 「あの2人のコミュニケーションだよ。気にしないで。 ユウスケ君とハルキさんは双子みたいに育ったんだ。 お互いに大切に思ってた。でも、家族って言う愛情だった。 ハルキさんは兄貴を選んだんだ。半年かかったけどね。 アニキにしては、ものすごく慎重に、大人しく待ったよ。 今ではユウスケ君にも8歳年下の彼女がいるしね。 ユウスケ君と兄貴はあれでも仲がいいんだよ。 本人達は認めないけど。」とクスクス笑う。 なるほど、ユウスケ君の人のオンナに手を出すって言う発言は ハルキさんの事だったのか。 と納得する。
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