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第1章 ビッチな彼
明るい部屋でぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いていた。10月の始め、まだ昼過ぎの太陽は明るい。レースのカーテン越しに秋のやわらかな日差しが透けている。
「…ん、そこ、もっと……して」
切なげな声でねだられて、思わずぐっと腰を突き入れた。
「あっ、あ、いいっ……っ」
途端にあまく鼓膜に響く悲鳴が上がる。やわらかな粘膜が絡みつくように蠢いて、それに逆らうように突き上げてやると、うれしげに腰をくねらせた。
「ここ、好きだな」
「うん、いい…、気持ちいい…」
うっとりと目を閉じて快楽を追う男の顔を、細野史明(ほそのふみあき)はじっと見つめながら求められたところをぐりぐりと押してやる。途端にびくびくを腰を波立たせて細野を締めつけながら、彼は細い喉をさらして激しく喘いだ。
「あっ、ああ…、いい。や、もっと、んん」
色っぽい顔をすると思う。
ふだんは地味でやわらかな印象が強い秋本敦(あきもとあつし)だが、こうして抱き寄せたときには驚くくらい艶っぽい表情を見せる。
秋本がこういうことに慣れているせいだろうか。
誘われて初めて抱いたときから、その奔放さには驚かされた。欲しいと言葉でも体でも素直に求めてきて、こちらが与えると積極的にお返しをされて、与えた以上の快楽を受け取った。
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