2章 2話 VS影

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俺はアイラとその影から距離を置いた位置から2人の戦いを視界に入れる。お互いに辺りの地形を変化させる程苛烈な攻撃を繰り出している。たまに黒龍が俺の方へ目を向けて口を開いて炎を吐こうとしていたが全部アイラによって阻止されている。 何度か空へ飛翔しようとしたりしてたがそれもアイラによって止められる。空へ羽ばたこうとしたらそのまま尻尾を掴んで地面に叩きつけたのだ。 黒龍は何をしても邪魔が入ると理解したようにみえた。それは今まで俺とアイラのどちらも視界に入るように位置取っていたのをアイラのみが視界に入るようにした。そして今までの不満か、或いは苛立ちか。それをこの不気味な空へ向かって何度目かの咆哮を上げた。 「ゴァァァアアアアア!!」 その咆哮は空気を震わせた。少し距離を取っている俺にまでビリビリと伝わってきた。それと同時に凄まじい威圧感を放っている。それは直接俺に向けられている訳では無いがソレをアイラは真正面から受けているが 動じてはないようだ。 「この威圧感……久しぶりじゃ。奴らと戦った時以来かの」 アイラは黒龍と身を削りあっている。その爪の一振で鱗を削り取り、その牙のひと噛みで喉元に食らいつこうとし命を絶とうとする。しかし段々と状況はアイラに分が悪くなってきてるように見えた。 美しい白龍はその色をうっすらと所々赤色に染められていた。黒龍の方も体表から黒色の液体のようなものがボタボタと滴っているが向こうは体力に制限がないのか最初と変わらない感じで暴れていたがアイラは黒龍に比べ少し動きが鈍くなっていた。
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