逆さま 日常の startline

起きろ

何度目かのリターンでコーヒーを渡される前に

「目覚めのコーヒー？」

と珠ちゃんに聞いてみた。

彼女はびっくりしてコーヒーを落とした。
飛び散るコーヒーに汚れた靴。
スローモーションの様に流れる時間。

俺が言動を変えると、少し変化が生まれる。

今度は現れた珠ちゃんに

「手元に気をつけて」

と言った。不思議そうな顔をして横に座る珠ちゃんの手にはコーヒーと紙パックのヨーグルト。

「目覚めのコーヒーでしょ？」

「凄い。超能力者なの？」

珠ちゃんが笑ってそう言った。