起きろ

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何故終わらない。 何回繰り返せば良いんだ? 話した内容もその人一つ一つの仕草さえも、全部暗記出来てしまうくらいに繰り返してる。 どこかにこのループから抜け出すヒントが有るハズだ。 でも……どこに? 注意深く1日の物事を追うが、始まりはいつも病院で 終わりはいつもベッド。真実では無い自分の投稿に目を凝らす俺。 イヤ、始まりと終わりは"逆さま"なのかも知れない。 周りを観察し過ぎて頭が痛い。 「勇先生今日は顔色が悪いねえ」 ここ何年もリハビリに通って居るおばあちゃんの足を曲げ伸ばしして居る時にそう言われた。 これは……初めてだ。 注意深く物事を見ろ…… 「ちょっと寝不足なんすよ」 「おや、珍しいねえ……いつも元気な先生が」 おばあちゃんは、しわくちゃの顔を更にしわくちゃにしてそう言うと、考え込んだ。 「前にも勇先生が寝不足だった事あったけど、あれはいつだったかねえ」 「……そんな事有ったかな」 ここだ。何と無く感じる。注意深くなれ。 「あー、そうだそうだ。何て言うんだろう、昔で言う文通みたいな。その相手の事良く話してた頃だねぇ」 文通? 「今の世の中、ケータイで何でもやりとりできるからすごいよねぇ。けどわたしゃ何だか寂しいよ」 「……」 「便利な世の中だけどねぇ、なんでもケータイを通して伝えるのは寂しいよ。やっぱり面と向かって話したい事も有るでねーか?」 「そうですね」 ……俺……何か忘れてる。 何だったろう。 鼓動が速くなる。 「そういや夕方のニュース先生見たかい?」 「え?なんですか」 「なんだ。見てないのかい。まあ仕事中だからねえ、……おや、もう時間だねえ。次は電気だよね?先生」 「あ、はい。……今電気埋まっちゃってるんで、このカード持って待ってて下さいね」 「わたしゃ時間だけは沢山あるからねぇ。待つとするよ」 ベッドから降りてスリッパを履くおばあちゃんを支えた。 ……… 見つけられない。 そしてまた繰り返される。 この時の変化はおばあちゃんとの会話が増えたこと。 それと……胸の中で警報が鳴り始めたこと。
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