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サマーキャンプ
洋介を想うと、詩織はいつもその愛しさに打ちのめされて、呼吸がうまくできなくなるほど胸が苦しくなり、何度もため息を吐いて、その苦しみから逃れようとするが、まったく逃れることは叶わなくて、終には涙を流したり、生きる気力を失ったりするのであった。
「洋介‥‥」
詩織は涙を浮かべて、洋介を消え入りそうな声で呼んだ。
「詩織‥‥泣いてんのか?」
ギターをイジるのを止めて、洋介はデリケートな子供をあやすように言った。
「だって‥‥」
詩織は洋介に、うまく自分の気持ちを伝えられなかった。
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