第8章 僕の味方達

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 昼休みになって大きな弁当箱を抱えながら大喜君とやって来たのは、田中さんがいつもご飯を食べている中庭の隅。  今日は先に来ていた田中さんが植え込みの段差に腰掛けたまま「私、邪魔ですか?」と僕と大喜君の顔を交互に見ている。 「邪魔じゃないよ。田中さんもお昼一緒にどうかなって思ったんだ」 「私がご一緒してもいいんですか?」 「いいから誘いに来たんだよ」  大喜君には中庭に来る前に田中さんの事を話してある。田中さんは事情を既に知っているから、と。  しばらく大喜君の顔をじっと見つめた田中さんが、珍しくニヤリと口角を上げた。 「そうですね、寒沢君が一緒だと知って悔しがる山本会長の顔がまざまざと浮かぶので、是非ともご一緒させていただきたいです」  もしかして今の田中さんの表情はドヤ顔だったんだろうか。  ホントは生徒会長さんにもお礼をしたかったんだけど、今この場所に生徒会長さんを呼んだら大喜君が嫌がりそうだしね。今度改めてお礼しないとな。  田中さんの隣に僕、その僕の隣に大喜君が座り、三人並んでから僕の膝の上で弁当を広げる。今日はいつもの弁当箱じゃなく、大きなタッパーにおにぎり、小さいタッパーにおかずが分けられて入っている。  お箸は割り箸だから、ちょっとしたピクニックっぽい。
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