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「何で起こしてくんねぇんだよ! 今日は朝からシフト入ってんだっての!」
寝間着代わりの真っ赤で派手なTシャツにジャージのズボン、朝日にキラキラと輝く金髪の円兄ちゃんが朝だというのに元気に大声で叫んでいる。
「いい大人が人に起こしてもらえると思うなよ。甘えるな、志之介だって一人で起きたんだぞ?」
そこで僕の名前を出され、気まずさを感じながらもダイニングのテーブルに着く。だって僕は今日はたまたま自分で起きられたけど、いつも周兄ちゃんに起こしてもらってるから。甘えてるのは僕の方だ。
「ぉおっ! シノ! 一人で起きられたなんて偉いな!」
僕が座っている椅子の背もたれを挟んで、円兄ちゃんが僕の背中に抱きつき頭をガシガシと撫でてきた。
「もう、円兄ちゃん! 痛いよ!」
「シノが可愛いからしょうがない」
何がしょうがないんだ、と思っている間に円兄ちゃんが僕から離れ、欠伸をしながら冷蔵庫を開ける。
そして冷蔵庫のドアポケット、いつもの定位置に牛乳のパックが無い事に気付き、冷蔵庫に手を掛けたままジロリと周兄ちゃんの顔を睨みつけた。
「おいコラ、牛乳がねぇぞ」
「さっき使い切った。スクランブルエッグには牛乳を入れないと作れないだろ」
「オレはいつも朝は牛乳って決めてんだよ!」
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