音

LINE

ピコン＿＿

『ツケのせいでお金なくなっちゃったよ。他の店からも電話鳴りっぱなしだし。ちょっと貸してくれない？』

ピコン＿＿

『あ、ブロックとかしたら店に行くから。TwitterやFacebookからも連絡取れるし』

ピコン＿＿

『今家？　なんならお金取りに行ってもいいけど』

　返事をするべきか迷い、仕方なくTwitterとFacebookは閉鎖。LINEだけでも無視していたらいいだろうと、既読にはせずに届くたびに非表示にし、放置する。

　そんなことを繰り返していたら、次は出勤前に店の前で待つようになり、流石に警察を呼びますと強くいいのける。

「俺が穂乃果に使ったお金のレシートちゃんとあるんだよ？　計算もしたし、その分だけでも払ってよ」

　そのレシートを見ると、毎回名前無しで切っていた領収書には店の印鑑がおしてあり、他のお店の分まで混ざっている。

「これはうちの店で笠松さんが飲み食いした料金なので私には関係ありません」

「あるよ？　一緒に飲んだじゃない」

「それは接客なので……」

「とにかく、この分払ってよ。俺こまってるんだよね。嫌いで別れたわけじゃないんだからさ、助けてくれてもいいんじゃない？　LINEも見てないみたいだし、他のも検索しても出てこないんじゃここに来るしかないもんね？」

「それは……」

「LINEブロックしたら店まで行くって言ったけど、今から取りに行く？　あ、ガソリン代も入ってるからね、それ」