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「いらっしゃいませ。穂乃果です。ボトルはどうされますか?」
「芋……黒霧島あるかな?」
「はい、メニュー表は?」
「いいよ。水割りでお願い」
ボーイに準備してもらい、どうぞとコースターの上に置くと、「一緒にどう?」と声をかけられるので、薄く作り「乾杯」と一緒に飲む。
多分二時間程で帰るだろうと思っていたら、ラストまでいてくれたので、時々席は空けるものの、戻るたびに「おかえり」と言ってくれるのがいつの間にか嬉しくて、いつもと違い自然に笑顔になる。
「良かったらLINE教えてもらえませんか?」
自分から聞くことがほとんどなく、その場のノリで交換して、お客の少ない時にはそこから営業もかけていたので、彼から丁寧に聞かれたことがちょっと新鮮だったのですぐに交換した。
「俺、あんまり人に教えないんだ」
「どうしてですか? 友達とかとは連絡取り合ってますよね?」
「一応ね。でも面倒なんだよね……電話のが早いし、俺返事遅いっていつも言われるから、自分からしないんだよ」
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