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きっと 、
彼がこちらへ視線をやったのは偶然で
視線が絡まったのは
更に、偶然だろう。
だけれど、彼の吸い込まれそうなほど透き通った瞳に僕の心臓はドクンっと大きく跳ね上がった。
僕は無意識に腹部に手をやった。
ずくん、となにかが起こった気がした。
「お、おい萩?」
「‥あ、‥なんだ尚。」
ハッとしたときには尚が訝しげにこちらを見ていた。
「なんだはこっちの台詞だ。
樂鴈寺と見つめあったりして、」
「見つめ合ってなんて‥」
言いながらもう一度廊下に目をやれば既に彼の姿はなかった。
「‥ただの偶然だ。」
「まあそうだよな。
君らが話してるとこなんて見たこともないし。
あ、あれか!ライバル同士のバチバチーって」
俺は樂鴈寺と一度も会話したこともない。同学年なのにクラスメイトになったこともない。
まあ学年のNo. 1と2が同じクラスなのは学校行事に差し支えるからだろうが。
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