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もう家に帰ってきてるだろうか。
それとも誰かと、クリスマスを楽しんでいるんだろうか。
勇平はさっきから、麻奈の事ばかり、考えながら歩いていた。
麻奈とクリスマスの夜を、過ごせるかもしれない。
心がウキウキしてたまらなかった。
一方、ホテルの部屋の前で待っている麻奈の耳に、足音が聞こえてきた。
振り返ると、勇平とは別の男性。
隣の部屋の人だった。
時計を見ると9時。
もう2時間も、勇平を待っている。
まだ仕事をしてるのかな。
それとも、誰かと食事でもしてるんだろうか。
そんな思いばかり、駆け巡ってくる。
勇平を驚かそうと思って、連絡しなかったのが、裏目に出てしまったのかな。
そう思った時だった。
「麻奈?」
呼ばれて振り返った瞬間、瞳の中に飛び込んできた人物は、勇平ではなかった。
「おまえ、どうした?」
「正也……」
「勇平、まだ帰ってきてなかったのか。」
正也は、気をきかせて遅く帰って来てくれたらしい。
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